GAMESS を使って RESP 電荷を計算する
本記事はこちら(https://qiita.com/Ag_smith/items/430e9efb32a855d4c511)を参考にGAMESS を利用して分子動力学計算用の RESP 電荷を計算する方法についてのメモです。
想定している環境
今どきでそこそこ良いスペックの Mac(Catalina)
PyMOL(ファイルを眺めたり変換するだけなのでオープンソース版でも可)
Molby のインストール
Molby は分子構造を作成するためのソフト。Gaussian でいうところの GaussView 的に使える。GAMESS の入力ファイルをわかりやすく作ってくれる。Molby の公式サイト(http://molby.osdn.jp/doc/ja/index.html)からファイルをダウンロードしてインストールするだけ。
GAMESS のインストール
GAMESS (US) の公式サイト(https://www.msg.chem.iastate.edu/gamess/download.html)からメールアドレス等を登録すると、ユーザ名とパスワードが送られてくる。今回ほしいのは「Pre-compiled Binary Distributions」の中にある「GAMESS version September 30, 2019 R2 for Apple MacOS X」。ダウンロードしたらアプリケーションフォルダに展開しておく。
ワークステーションやスパコンなどで計算する場合は適切なバージョンをインストールしてください。
実際の計算方法
計算したい分子の PDB ファイルを用意する。
Molby で PDB ファイルを読み込む。
必要であれば水素を付加する。
「MD/MM」→「Guess MM/MD Parameters」
「Guess atom types」にチェックを入れた状態で実行すると Antechamber がatom type を割り当ててくれる。
「MD/MM」→「GAMESS and RESP」
Step1の「Create GAMESS Input」を押すと設定画面が現れる。
- SCF type は分子に合わせて選択する。(http://pc-chem-basics.blog.jp/archives/296303.html)
- Runtype は 「Optimize」
- Charge、Multiplicity も分子に合わせて選択する。(http://pc-chem-basics.blog.jp/archives/304329.html)
- Basis set(基底関数)は適当なものを選択する。(http://pc-chem-basics.blog.jp/archives/1203178.html)
- 「Calculate electrostatic potential」にチェックをつけるのが最も重要。
$ELPOT IEPOT=1 OUTPUT=PUNCH WHERE=PDC $END
$PDC CONSTR=NONE PTSEL=CONNOLLY $END
ローカルマシンで計算する場合
「Execute GAMESS on this machine」にチェックを付けて、実行ファイルのパスを指定する。(例:/Applications/gamess_2018R1/gamess.30Sep2018R3.x)「OK」を押すと計算が始まる。それなりに負荷がかかるので注意。
別のマシンで計算する場合
「Edit GAMESS Input and Go」から現在の設定ファイル(.inp)が見れるので、コピーして ligand.inp などとして保存する。RESP電荷計算後の処理
実行後はligand.datが作成されるので、Step2 の「Import GAMESS dat」から読み込む。Step3 の「Run RESP...」を押すと RESP 電荷が適用される。
この状態で、ligand_resp.pdb および ligand.psf として保存する。ちなみに電荷が含まれているのは .psf の方。PyMol で ligand_resp.pdb を読み込み、「Export molecule」から ligand_resp.mol2 として保存する。この時、「Original atom order」にチェックを入れておく。
ligand_resp.mol2、ligand_resp.psf を強いテキストエディタ(例:mi)で開く。矩形選択モードに変更して ligand_resp.psf の電荷をコピーする。Excel に貼り付けて ROUND(元の電荷, 5) で桁を丸め込む。丸め込んだものについて総和を計算する。ゼロ(あるいは設定した電荷)にならず0.0001 など端数が生じることがあるので、適切に電荷を調節して総電荷が整数になるようにする。計算結果を ligand_resp.mol2 に貼り付ける(一番右のカラム)。atom type もligand_resp.psf から ligand_resp.mol2 にコピーする(座標の次のカラム)。
ligand_resp.mol2 に二重結合を反映させる。@<TRIPOS>BOND 行以下に結合の情報が書かれている(例:1 3 5 1)。例では結合番号1は原子3と5の間にあり、1重結合である、という形式です。この際、Molby の原子番号はゼロ始まりなのに対して、mol2 では1始まりなので注意してください。構造を見ながら、二重結合である部位については一番右の数字を2に変更してください。ちなみにアミドの場合は am、芳香環やCOO-については ar を指定します。
antechamber を使ってファイル形式を変換すると、AMBER(tleap) で読み込めるパラメータファイルができます。(http://ambermd.org/antechamber/ac.html#antechamber)
antechamber -i ./ligand_resp.mol2 -fi mol2 -o ligand.prep -fo prepi -nc 0
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